真田広之 映画【たどんとちくわ】

たどんとちくわ

たどんとちくわ
 ■1998.12.05  
 ■監督:市川隼
 ■原作:椎名誠
 ■出演:「ちくわ」チーム
     真田広之、田口トモロヲ、小野田由紀子、(合流)役所広司、根津甚八
 ■製作:GAGA PICTURE 配給:ギャガ・コミュニケーション


 かなり楽しいテイストにございます。
イカれた芸術家をここまで楽しく演じられるなんて真田広之はやっぱりすごい表現者だ(尊敬)基本的に目の下のクマをつっくった真田さんの顔が好きな方にはたまらない逸品にございます。
独り芝居に近い感じで、ずっとボソボソと真田さんのナレーションが入ってて
どっぷり浸かれる真田風呂って感じ

さあ、君も一緒に浸かってみないか?
さっきまでのイライラやムシャクシャした気分なんて一気に吹き飛ぶぜ!!

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ファーストカットもかなり好き。
日常っぽい品々があるだけなのに布団に服のまま入り葉巻きふかしながらワープロ打つ浅見さんが現れた瞬間、すっげー異質なもの>に見えてくる。きてますねー。すてき。

 フラフラしながら街を歩く姿は目がイっちゃってるのに世間が気付かなくて自分の世界に入り込んでてかなり楽しい。
ノリノリ真田広之。
その辺にいそうなイカレ野郎って時々ちょっと憧れたりしません?
現実って時々見たくないものだからねー。
あんまり考え過ぎると妄想と空想と現実の境目がわからなくなって頭がボーッとなりますが、浅見さんはそれを楽しんでる真田広之です。楽しそー(浅見さんではなく真田さんが)

屋台のおでん屋で「ぷちっ」と軽くきて非常に下品な行動に出られます。
(女の子が書ける言動ではありませぬ)
その時のヒラリと屋台の食卓に上がってオヤヂに悪態つく時の表情はなんて楽しそうなのでしょう。かなり好き。

自分の本が置いてあるマニア御用達にしか見えない本屋での佇まいもイっちゃっててダイスキ。しかも奥で踊ってっし(笑)
またこの踊りも奇妙なの、日舞?ジャズ?タンゴ?盆踊り?なんじゃい、そら?
店員さんもつい一緒になって踊り出すし。キテますねー。
そんでそれは実はセックスアピールだったらしい。
かなりいい感じ(love)

んで行き着け?の居酒屋にご到着。
店が新装開店してたのに結構不満をもらしたりします(とってもヤな客
真田さんのナレーションはボソボソと続いています。目もかなりイっちゃってます。
非常にいい感じですね。
その時手にしたポストカードに

 「王様とロバとわたし  わたしたちは明日死ぬ
       ロバは餓えて  王様は退屈で  わたしは恋で」

ってこれは浅見さん作なのかな?かなりイケてるよね?

さあ、この辺から妄想と現実がごっちゃマゼになってくる浅見さん。
まわりの皆さんは愚民にしか見えません。
でも、愚民に雑ざっている高貴な自分を必死に押さえておられます。
自分こそは汚れなき人種であるがごとく。
しかし、まわりの人々から見れば明らかに「アブナイ人」です。いや、「アヤシイ人」か?(ステキ)

女将さんが活けた花を真っ二つにハサミでチョンして、
「色紙」を買ってこさせ悩みに悩んだあげく書いた言葉が

「音信不通」。

もー、かなりイケてますね。
しかも観てる人は大爆笑なのに女将さんは「奥深いですねー」だって。ステキすぎるわっ

さてこの辺りにさしかかるともう手の施しようのない目つきをされてます。
先程の屋台で食べ損なった「ちくわ」を注文して、こんなんちくわじゃねーよ、って感じで口のまわりをベタベタに汚しながらいただかれます。

いつもはキレイな食べ方をされる真田さんがこの「食べる」シーンでも魅せてくれます。
なんとなくエ○く感じるのはワタクシだけ?うん、君だけ)かなり好き。
んでさ、グワバッって嘔吐されます。
なのに、板さんにあいさつを求める浅見さん。かなりキテます。

んでさ、耳を触ってると耳が取れたりするのね。
さすがにこれにはビックリ浅見さん。
こっそり付けたりされます。
この時もいい顔してます、真田さん。楽しーっ!

フラフラしながらお手洗いへ。
まわりの人はよけてしまうくらい危ないムード満載の浅見さん。
んで、個室で気付くのです。
自分の男根がないことにっ!
(堂々と書くなよ〜)
バッチン!ぶちきれました!!

 スカーフをバンダナみたいに捲いて、そこの愚民に飛び蹴り!ひゃーっはっはっは!
これを皮切りに切れて、キレて、きれまくる浅見さん。楽しそー。
包丁をニ本持ち、華麗な手さばきで次々と愚民に刃を向けていかれます。
愚民からは色とりどりの液体が噴き出します。店内すっげーことに。

しかし、殺りくの舞は止まず、最期の一人までそりゃあ楽しそうに殺害されます。
浅見さんのシャツは超カラフルに。
さて、邪魔者は全て片付けた浅見さん。

ちくわを発見(!)

自分の男根の替えにしようと試みられます。
(だから堂々と書くなって)
それがなかなか当てはまらないらしくだんだん「泣く寸前の子どもの顔」になっていかれます。

そして、「ハッ」と気付かれます。
自分の男根を忘れてきた場所を。
(・・・・・。)

一気に気が抜ける浅見さん。
おや?外が騒がしい。
そう思って包丁片手に外に出られるとさっきまで色とりどりだったシャツは返り血で真っ赤に染まってます。
(もうどこまでが現実なのか観ているほうはわかりません。だから好きに解釈)

見れば機動隊に抱囲されている浅見さん。そこでも幻覚を見ます。
しかし、お店から出てきた年寄り店員に「アホ」と言われ我にかえります。機動隊は幻覚だったのね。
しかし、シャツは返り血に染まってるし、出てきたバアサンは血まみれの包丁をバックにしまうし。

もう何がなんだかわかんない浅見さんですがとりあえず走りだします
なんだか気分は爽快です。
森高千里の歌声でも聞こえてきそうです。
フラフラなんだけどなんか楽しそーで満たされてる真田さんかなり好きです。

そして、「たどん」チームと合流。
包丁突き出し、どっから見ても半狂乱の浅見さんは根津ジン八さんに「東京まで」と超アバウトな行き先を告げてタクシーに乗り込みます。

汗だくに返り血浴びてかなりセクシーな浅見さん、途中でお手洗いに行きたくなられます。その時です!

「あ、あった!
 ........おかえりっ」

そりゃあ満足気な浅見さん。超うれしそう。良かったね!!
(ここで「何が?」とか聞かない)

おしまい。

 

なかなか感想は書き辛いらしいこの映画。
沙紫夜的には全然OK!です。
「意味わからん」とよく耳にしますが、この映画は意味を見い出すのではなく、
楽しそうな真田広之を感じて頭からっぽにしてアホな現実もくだらない妄想も笑い飛ばすためにあるのです。

ほら、見方を変えればみえてくるこの映画の素晴らしさ(アホらしさ?)
やりたくてもやれないことを我らが真田さんが身を持ってやってくださっています。
サイコーです。(>_<)
そして「嗅覚」で仕事を選んでおられる真田広之。お見事!

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